3年振りにリフレッシュされた新しいiPod touch(第6世代)を購入してみました。
外観を中心にレビューをした前編に続き、後編では大きく進化した中身をみていきます。
最新のプロセッサー「Apple A8」を搭載
詳細なスペックは公式サイトで確認できますが、旧モデル(第5世代)との主な違いは次のようになります:
- Apple A8
- 1GBのメインメモリ
- モーション・コプロセッサー「M8」
- 8MP iSightカメラ
- バーストモード・スローモーションビデオ
- Wi-Fi 802.11ac 対応
- Bluetooth 4.1対応
やはり最も注目されるのは、旧モデルの「Apple A5」から飛び級し、iPhone 6・6 Plusと同じ最新の「A8」となったプロセッサーです。
クロックこそ1.40GHzから1.13GHzへ抑えられているものの、旧モデルとの比較でプロセッサーが最大6倍、グラフィクスにいたっては最大10倍の性能を持つとのこと。
実際にどの程度違うのか、ベンチマークテストで確認してみました。
ベンチマーキング
ベンチマークテストでは、次のモデルを使用しました。
- 第6世代 iPod touch (6G):Apple A8 1.13GHz 1GB
- 第5世代 iPod touch (5G):Apple A5 800MHz 512MB
- iPhone 6:Apple A8 1.4GHz 1GB
- iPhone 5s:Apple A7 1.3GHz 1GB
テスト実施にあたり工場出荷時の状態に初期化し(iOS 8.4)、テストはぞれぞれ3回行い平均値を出しています。
プロセッサー・ベンチマーク
CPUのベンチマークには『Geekbench 3 』を使いました。
テストはプロセッサーの処理能力が問われる各種オペレーション行い、総合的に評価するもので、シングルコアとマルチコアの2種類があります。
シングルコアの結果によると、第6世代は第5世代の約6.6倍の性能で、iPhone 5sと6の間であることがわかります。
マルチコアの結果では、第5世代の6.0倍のスコアを記録。アップルの謳う「最大6倍」は間違いではないようです。
このテストでは5sよりも低いスコアを出していますが、大差はないといえます。
グラフィックス・ベンチマーク
「Apple AX」シリーズは「A7」から64ビットになり、グラフィクスの性能が飛躍的に向上。
さらに独自のグラフィクAPI「Metal」を組み合わせることにより、その性能を最大限に引き出すことが可能になりました。
グラフィクスのベンチマークは種類が多く、1つで総合的に判断できるものがないのですが、今回は『GFXBench Metal 』の「Trex Off-Screen 1080p (Metal)」を使用。iPod touch 5GはMetal非対応のため、GFXBench 3.0で同等のテストを行いました。
結果の数値はフレームレートで、iPhone 6と同等という優秀な成績。第5世代と比較すると、15倍もの開きがありました。
カメラ性能も大幅に向上
iPhoneに見劣りがしていたiSightカメラ(メインカメラ)も、画素数が5MPから8MPへとアップ。
プロセッサーの処理能力が向上したことにより、静止画の連写機能「バースト」や、120fpsのスローモーションビデオにも対応しています。
全てが最新の仕様に
ブロセッサーやカメラだけでなく、ハードウェア全般に渡り最新のスペックになっています。
ジャイロスコープ・コンパス・加速度センサーなどからの信号は、「M8」コプロセッサーが処理を担当。A8の負荷を低減し、電力消費を抑えてくれます。
また、新しく追加された気圧センサーにより、階段の上下なども計測することができ、フィットネス系アプリでより正確に運動量を測ることが可能になります。
ネットワーク系もブラッシュアップされ、Wi-Fiは「 802.11 ac」に対応。「11n」の最大3倍の速度で接続できます。また、iOSデバイスとしては初めてBluetooth 4.1をサポートしています。
3年分の進化をギュッと凝縮
アップルがデバイスに付ける内部モデルナンバーは、第5世代が「5,1」で、この第6世代は「7,1」となっています。
おそらくこの間に、幻の「6,1」が企画または開発されながらも、何らかの理由で陽の目を見ることがなかったのではないでしょうか。
興味深いのは、内部のスペックは最新にしながらも、外観はほぼそのままにする、という選択をしたところ。
薄く小さなボディに、iPhone 6とあまり変わらない性能が詰め込まれており、見た目は旧モデルとそっくりでも、中身は完全に別物です。
米国では旧モデルの価格を据え置き、日本では円安の影響で若干値上げとなりましたが、性能アップ考慮すると、かなりお得感があるデバイスといえそうです。
後編では、3年分の進化が詰まったパフォーマンスの向上についてのレビューをお届けします。