iFixitがオーストラリアでiPhone 5を入手し、恒例の「Teardown (分解)」を公開しています。
iPhone 5は、アルミのUnibody、Lightningコネクタ、イヤフォンジャックの移動など、構造がガラリと変わっていますが、分解はこれまでと同く2本のペンタローブ(星形ネジ)を外すところから始まります。
バックパネルから外すところから始まるiPhone 4Sとは異なり、iPhone 5ではまずフロントパネルを取り外します。
100円ショップで売っているような吸盤で割と簡単に外れるようです。
液晶・タッチパネルのモジュールは、ネジを外してフレックス・ケーブルを持ち上げて外します。
フロントパネルを外すまでに、iPhone 4Sでは38ものステップを要していたのに対し、iPhone 5では5〜10分程度で取り外すことができるとのこと。
落下による液晶・ガラスのひび割れはもっとも多い修理なだけに、この変更は朗報といえます。
顔を覗かせたiPhone 5の内部で最も大きなパーツは、やはりバッテリーです。
外装のプリントによると、このバッテリーはソニー製で、シンガポールで製造された模様。
数本のネジを外しロジックボードを分離。
iSightカメラが一体化され「モジュール化」が進んだことで、修理のしやすさがアップしているとのこと。
ロジックボードの裏側。
ほぼ全てのチップが識別されていますが、目立ったところでは、
- 黄:Hynix社製のFlashメモリ(16GB)
- 青:ジャイロスコープ
- 紫:ムラタ製Wi-Fiモジュール
などがあります。
RF・アンプ系は左端に集められています。
表側には「Apple A6」、nanoSIMトレイなどが並びます。
興味深いのは、このA6にプリントされている型番がアップルのイベントで発表されたもとは異なり、内包されているメモリがサムスン製からエルピーダメモリ製に変更されているという点。
アップルが、サムスンからの部品調達を減らす方針に変えたとの噂もあり、これもその一端かもしれません。
ロジックボード表面の主なパーツ。
- 緑:Apple A6
- 青:Qualcomm MDM9615M LTEモデム
- 赤:加速度センサー
- 紫:マルチバンド/モード RFトランシーバー
リアケースに接着されている本体下部分のモジュールをメリメリと剥がします。
このモジュールには、イヤフォン・Lightningコネクタ・スピーカー・Wi-Fiアンテナ・マイクなどが一体化されています。
ほぼ裸になったリアケースの重さを測ると、iPhone 4Sのガラス製リアパネルより若干重いくらいしかないとのこと。
ユニボディにすることで、側面のステンレスバンドも撤廃でき、iPhone 5の軽量化にかなり貢献しているようです。
故障の多かったホームボタンも改良され、金属製のブラケットが採用され、耐久性と修理のしやすさが向上。
読者のリクエストに応えて、キズの付きやすさをテストしてみたところ、側面はかなり丈夫なものの、面取りしてあるエッジの部分はやはりキズに弱いとのこと。
ケースを使うか、それとも気にしないか、どちかを選ぶことになりそうです。
iSightカメラに関しては、スペック上iPhone 4Sと同じ8Mピクセルですが、速度が40%、暗所での撮影も向上しているとのこと。
iPhone 5の発表でも登場したサファイアクリスタルのカバーは、ピンセットで擦ってもキズひとつ付かないそうです。
iFixitは、バラした製品の修理のしやすさ10段階で評価していますが、iPhone 5は7点を獲得し、iPhone 4Sよりも1点向上しています。
詳細な分解ステップおよび高画質な画像は、iFixitのサイトでどうぞ。