アップルが、新しいiPadと共に継続して販売している「iPad 2」のプロセッサーを密かに改良。
パフォーマンスを維持したまま消費電力を削減し、使用時間が最大で30%も向上しているようです。[source: AnandTech ]
ご存知のとおり、新しいiPadの登場により旧モデルとなったiPad 2は、エントリーモデルという位置づけで「16GB Wi-Fi」のみ価格を一万円値下げして並売されています。
プロセッサーのベンチマークなどで知られるAnandTechのレポートによると、この中に新しいプロセッサーを搭載した「改良版」が含まれている(混ぜられている)とのこと。
この改良版は、32nmプロセスで製造された「Apple A5」を搭載し、アップルがハードウェアを区別するために使うモデルナンバーで「iPad 2,4」が割当てられており、『Geekbench 2
』他のアプリで確認することができます。
iPad 2のモデルナンバーと製造プロセスをまとめたのが下の表。
製造プロセスを45nmから32nmに移行することにより、ダイ・サイズを約42%小型化することに成功。
さらに32nm版A5では、「high-k + metal gate LP (HK+MG)」という省消費電力の新しいトランジスタ技術を採用しているそうです。
小型化および新技術の導入により、「iPad 2,4」に搭載されている32nm版A5は、消費電力および発熱がかなり抑えられています。
レポートでは、連続使用のベンチマークをいくつか計測しています。
3Dグラフィクスをフルに活用したゲーム『Infinity Blade II
』でテストした結果がこちら(シーンの連続再生)。これまでのiPad 2と比較して、約29%向上しています。
高いビットレートの動画を連続再生したテストがこちら。
この場合は約18%の向上していることがわかります。
これだけの省消費電力を実現できる技術を、新しいiPadの「Apple A5X」に採用していれば、バッテリーの小型化につながり、重量・厚みの増加を回避できた気もします。
この疑問に対しレポートでは、アップルは比較的新しいこの技術をまずは販売数の少ないiPad 2やApple TVで試すことでリスクを減らし、ボリュームの多いiPhone 5に備えるという戦略をとったのではないか、と分析しています。
スマートフォン・タブレット用プロセッサーは、近い将来クアッド(4)コアに移行することがほぼ間違いなく、今回のアップルによる密かな改良は、それを見据えたステップといえるかもしれません。