CEO・イーロン・マスクがTwitterで、過去にTeslaの売却を検討し、Appleに門前払いをされていたことを明かしました。
Appleによる車の開発計画「Project Titan」が、2024年の製造に向けて現在も継続中、というニュースが注目されています。
AppleはProject Titanの中核として画期的なバッテリーデザインを採用するとされ、これに関してTeslaのCEO・イーロン・マスクがTwitterで以下のようなコメントをしました。
During the darkest days of the Model 3 program, I reached out to Tim Cook to discuss the possibility of Apple acquiring Tesla (for 1/10 of our current value). He refused to take the meeting.
— Elon Musk (@elonmusk) December 22, 2020
前半ではAppleの「画期的な」バッテリーに関して疑問を呈しつつ、後半の部分で「暗黒の日々」にTeslaの売却を検討。売却先としてAppleへコンタクしたが、ティム・クックに話し合いを拒否された、と告白しています。
モデル3の暗黒の日々
イーロン・マスクは、ベンチャーには不可能と思われていたEVの量産実現という目標を掲げ、2006年に以下のような「マスター・プラン」を発表しました。
- スポーツカーを作る
- その売上で手頃な価格のクルマを作る
- さらにその売上でもっと手頃な価格のクルマを作る
- 上記を進めながら、ゼロエミッションの発電オプションを提供する
このプランに沿って、ステップ1としてスポーツカーの「ロードスター」(2010年)、ステップ2でスポーツセダンの「モデルS」(2012年)とSUV「モデルX」(2015年)を発売しました。
ここまではマージンが大きい高級車かつ生産台数も少なく順調でしたが、ステップ3の「モデル3」の生産で壁にぶち当たります。
「モデル3」は、ベースモデルで3万5千ドル(約360万円)という低価格により、発表後1週間で32万5千台の予約が入るほどの人気となります。
Teslaは「モデル3」の生産にあたり、コスト削減のためロボットによる徹底的な自動化を計画しますが、未経験であった自動車量産のハードルは高く、様々な問題に直面。
マスク氏自ら工場に連日寝泊まりして問題解決にあたったり、生産の遅れで資金がショートし破産まで1ヶ月に陥るなど、ギリギリの状態にまで追い詰められます。
後日、最も辛かった時期は2017年中頃〜2019年中頃と明かしており、今回の「モデル3の暗黒の日々」はこの頃で、ティム・クックによる”門前払い”も同時期と思われます。
Closest we got was about a month. The Model 3 ramp was extreme stress & pain for a long time — from mid 2017 to mid 2019. Production & logistics hell.
— Elon Musk (@elonmusk) November 3, 2020
いつ破綻してもおかしくないと噂されていた当時は、株価も40ドル〜70ドル程度と低迷。
現在は600ドルを超え、自動車メーカーでトップの時価総額6,070億(約63兆円)へ成長したことは広く知られるとおりです。
10分の1の価格で買える機会を逃したことより、日進月歩のEV・自動運転の市場で、Teslaを取り込むことで短縮できたはずの開発期間が大きな損失、という気もします。
Teslaの自動運転ベータ(FSD beta)や、バッテリーの進化を考えると、Appleが車の生産開始を目指す2024年頃には、背中がみえないほどTeslaが先行している気がしてなりません。