アップルが約2年振りにiPhoneの内部から外観までほぼ全てを刷新、すべてが変わった『iPhone 4』のインプレッションをお届けします。
iPhoneは2007年に初代を発売(日本は含まず)、2008年のiPhone 3G、2009年には3GSと、約1年のサイクルで新モデルを投入しています。
iPhone 3GSが3Gのデザインをそのまま受け継いだ”改良版”だったのに対し、4代目となる「iPhone 4」では、アップルが「すべてを変えていく」というコピーを使うほど、全般的に変更・改良が行われています。
新しい機能や大幅に向上したパフォーマンスはさておき、まずはその外観を写真とともに見ていきたいと思います。
今回入手したのは『iPhone 4』のブラックモデル・32GB。ホワイトモデルは製造上の問題により、7月後半以降に提供されます。
これまで画面を正面からみた写真を使っていたパッケージは、やや斜めから撮影したイメージに変更。これまでと違うとメッセージをがパッケージからも伝わってきます。
開封してiPhone4を目前にしてまず驚くのは、その圧倒的な造形美、これまでのiPhoneを遥かに超えるディーテールへのこだわりです。
CGなどを多用しカタログ画像と実物とのギャップが激しい製品が多いなか、iPhone 4の実物は、「写真以上に美しい」といっても過言ではありません。
本体が置かれたトレイを開けると、その下にアクセサリー類がコンパクトにまとめられています。
リモコン・マイク付きのイヤフォン、USBドックケーブル、ACアダプターには、目立った変更は加えられていないようです。
奥に見えるのは、SIMを交換する際に使うピンです。
これまでのiPhoneのアクセントとなっていたクロームのリムがなくなり、型を抜いたように前面からバックまで同じ形状に変更。サイドにステンレス製のバンドをあしらい、ソリッドな印象を与えています。
電源を切った状態のブラックモデルは、「黒い1枚の板」のようにさえみえます
先代と比較して横幅を3.5mm削り、よりスリムなデザインへ変更。
数字上はわずか変更ですが、片手で操作することが多い携帯電話ではこの違いは大きく、手の小さい日本人(とくに女性)にとっては嬉しい改良といえます。
バックパネルは、カーブを描いた樹脂製のものから、フラットでプラスチック30倍の硬度をもつ強化ガラスを採用。
デスクなど置いた状態では不安定だった3G・3GSに比べ操作がしやすくなっています。
また、大事なアップルマークがガラスの下に埋め込まれたことで、キズの心配が不要になったという隠れたメリットもあります。
本体の厚さは12.3mmから9.3mmと3.0mmも薄くなり、並べてみるとその差は歴然。
アップルが小型化・軽薄化にかなりの努力をしたことが伺えます。
その一方で、カーブが手に馴染んだ先代に比べると、角が手の平に当たる感じがします。このあたりは、個人差および慣れも問題かもしれません。
左から、マイク、30pinドックコネクタ、スピーカーを備えた本体下側。
シンプルで美しい造形は、3G・3GSを遥かに上回るものがあります。
これまでのどおり、ホームボタンを除くすべてのバタン類は本体左のサイドへ配置。
ボリュームボタンは上下をセパレートしたデザインに変更。
ボタン類は角が立ち指に引っかかるデザインから、角を丸めたものなっています。
本体上部の3.5mmステレオミニジャック、電源・スリープボタンの位置はこれまでと同じ。
その横にある穴にはマイクがもうひとつ埋め込まれ、FaceTimeおよびノイズキャンセリングに利用されます。
500万画素へと性能をアップしたカメラは、これまでよりひと周り大きくなっています。中にあるレンズも若干サイズアップしている模様。
カメラに色がついみえるのはおそらくフィルターの特性によるもので、実際には無色透明。角度よって色がついてみえます。
FaceTimeや自分撮りで使用するフロントカメラは、通話用スピーカーの左に配置されています。
ステンレスのバンドは2つのアンテナの役割も担っており、3つのピースに分割。
ピースの間の細いギャップには樹脂(?)が埋め込まれ、触っても分らないほどスムーズです。
大きなデザイン変更に隠れて、密かに変えられていた(?)のがDock横の2本のネジ。
簡単に開けられないようにするためか、一般的な「+(プラス)」ネジから、5角形をしたトルクスネジに変更されています。
“スペースを稼ぐため”に採用したとされる、MicroSIMのスロットは本体右横に配置。
取り出す際に使うピンのホールがなければ気が付かないほど、隙間無く収まっています。
MicroSIMを取り出したところ。
トレイも金属製で精密な造り。こんなところにもデザインへのこだわりが感じられます。
iPhone 3G・3GSのデザインが決して悪かったわけではありませんが、iPhone 4のそれは「数段上のレベル」と評しても大袈裟ではないと思います。
必要な機能、サイズ、使い易さ、耐久性、デザイン、コストといった相反する要素を、ここまでうまくまとめて製品化することは、アップルとて容易ではなかったはずです。
しばらくは入手困難な状態が続くと思いますが、ぜひ店頭などで実際に手にとり、その素晴らしさを実感して頂くことをお勧めします。