2010年4月3日に米国で先行発売されたアップルのタブレット型デバイス『iPad』を購入、試してみました。
前回の外観編に続き、今回はiPadを実際に使ってみた印象・感想をまとめてお届けします。
手にズシリとくる重さ
iPadを初めて手にして最初に感じたのは、ズシリとくるその重さでした。
680gという重量はノートPCなどと比べても軽いはずなのですが、iPhoneとほとんど変わらない薄さとシンプルなデザインから、「軽そう」というイメージを持ってしまうのかもしれません。
また、本体に突起が無いため、ホールドする際に必要以上に力を入れてしまいがちです。
とくに梨地加工のバックパネルは滑りやすく、膝の上においてタイピングしようとすると安定しません。アップル純正、またはサードパーティ製のケースの利用が必須となるかもしれません。
すべてがキビキビと動作するパフォーマンス
iPadの心臓部にはアップルが新しく開発した「A4」と呼ばれるカスタムチップが採用されています。
このプロセッサーのパフォーマンスが素晴らしく、動作が軽快なiPhone 3GSと比べても全ての操作が圧倒的な速度を体感できます。
iPhoneに比べて解像度が増した分画像処理が増えているにも関わらず、アプリの切替えや画像のズーム、3Dのゲームに至るまでサクサクと動作します。
ビビットだが映り込みも激しい大型液晶
LEDバックライトを搭載した9.7インチの大型液晶は、明るくそしてビビットな発色をしてくれます。
この液晶サイズで1024×768、132ppiというスペックは決して高解像度ではありませんが、数値以上に美しく感じられます。
また、iPadとiPhoneは同じOSをベースにしており、これまでのiPhone・iPod touch向けアプリを利用することができます。
解像度が違うため、iPadの画面中央に小さく表示される「等倍モード」と拡大表示(画質が低下します)する「2倍モード」を自由に切換えて使用できます。
液晶画面にはiPhone 3GSと同じ「耐指紋性撥油コーティング」が施されているものの、指紋が全く付着しない訳ではなく、むしろ画面が大きいことによってより目立つようです。
気になる場合は、東レのトレシーなどの高性能のクリーニングクロスで拭き取るとキレイになります。
また、明るい場所では画面への映り込みが多いため、指紋への対策を兼ねて、アンチグレア(非光沢)の保護シートを導入した方が快適かもしれません。
体感でiPhoneの3倍もつタフなバッテリー
バッテリーはiPhoneユーザーが挙げる不満点の筆頭ですが、10時間駆動するというiPadではどうでしょうか。
アップルはこの点を十分考慮し設計したようで、大きな液晶・高性能なプロセッサーを搭載しているにも関わらずスペックどおり長時間使用することができます。
バッテリー残量を数値表示するモードにして使用すると、iPhoneと比べてその減り方が緩やかで、体感で3倍くらいもつ印象です。よほど負荷をかけた使い方でなければ、フル充電で1日持ち歩くのに十分な容量といえます。
注意したいのは、内蔵しているバッテリーが大容量ゆえに、充電に時間がかかることです。
空の状態から満充電に必要な時間は、付属している専用のACアダプターで4〜5時間。Mac/PCのUSBポートからでは10時間以上かかることもあります。
また、Mac/PCによってはUSBポートから充電できない機種もあるようです。
慣れると便利なバーチャルキーボード
iPadでの入力にはその画面サイズを生かした大きなバーチャルキーボードが使われます。
本体を横にした場合のキーボードはノートPC並の大きさがあり、iPhoneでのQWERTYと比べると格段に使いやすくなっています。紹介ビデオにも多く登場するので目にした方も多いかもしれません。
しかしながら実際の使ってみると、紹介ビデオのようにサクサクと入力できるようになるためには、それなりの慣れが必要だということが分かります。
キーのサイズは十分ですが、物理的なフィードバックがない、またキーの上に指を置いて休ませることができないなど、通常のキーボードとは違った指の動きが要求されます。
さらなる進化に期待
1週間程度という短期間の使用での、気になった点を中心にまとめてみました。
既にiPad専用のアプリが多くリリースされていますが、大画面への対応に留まったものがほとんどで、その真価を発揮するアプリはまだこれからといった状態です。
iPhoneがソフトウェア・アップデートとアプリで利便性が向上したように、iPadもデバイスの性能そのもので評価するのではなく、その特質を生かしたアプリが充実と今後のOSの進化に期待したいところです。