【レビュー】 『iPhone ショック』 林 信行著

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アップルを中心に幅広く活躍するジャーナルリスト、林信行氏の『iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり』のレビューです。

iPod touchの魅力に取り付かれつつもその理由が分からず、”モヤモヤしていた気持ち”をすっきりさせてくれた良書です。

 

iPhoneからみるアップル流ものづくり

本のタイトルになっているものの、「iPhone」について書かれているのは全体の半分もありません。むしろ”アップルのものづくり”を中心に書かれています。

裏を返せば、”アップルのものづくり”を知らずに、なぜiPhoneのような製品が生まれたかを理解することは難しいということでもあります。

iPhoneのような革新的・型破り・斬新な製品とサービスは決して偶然に生まれるのではなく、10年後まで見据えた壮大なグランドデザインと、常識にとらわれずに無数の可能性を精査した後に辿り着く必然であることが分かります。

 

「マイナスのデザイン」とは?

本書の中で”なるほど”と思ったことのひとつは、アップルが全ての製品設計に貫く「マイナスのデザイン」についての記述です。。

技術的にはずっと先行しているはずの日本(というかアップル以外)のメーカーが、なぜiPhoneのような携帯をつくることができなかったのか、という疑問への答えと言えます。

この「マイナスのデザイン」を読みながら、購入以来ずっと感じていたiPod touchを使っているときの心地よさと楽しさの理由がやっと分かった気がしました。

 

全てを支えるのはビジネスモデル

デザイン思想や製品へのこだわりなどアップル流のものづくりに重きを置いて書かれていますが、ブランド戦略やビジネスモデルについての記述も作者は忘れていません。

むしろアップルの製品開発・デザイン思想の基盤となっているのはそのビジネスモデルである、ということに気付かされます。

”よい製品を作れば売れる”という単純な話ではなく、考え抜かれたビジネスモデルこそがアップルの競争力の源泉だということです。

 

iPhoneを購入したきっかけになった一冊

実を言うと、現在使っているiPhoneの購入はこの本を読んだことがきっかけでした。

以前からiPhoneに興味がありましたが、昨年末にこの本に出会い、読んでいるうちにどうしてもiPhoneが欲くなってしまいました。

その後の顛末は本サイトのエントリー”「iPhone」を日本から安く簡単に買う方法+体験レポート”で紹介しています。

iPhoneの日本発売を心待ちにしている人や、プラットフォームを共有するiPod touchユーザにオススメの本でした。

 

題名: 『iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり
出版: 日経BP社
価格: 1,680円