クレジットカードやキャッシュカード等の暗証番号を、簡単にしかも気付かれずに盗みとれる方法が紹介され、海外で話題となっているようです。
その方法は、YouTuberのMark Rober氏によって動画(上)で公開され、わずか3日ほどで再生回数が200万回を超えるほど注目されています。
Rober氏はまず、実際に暗証番号を盗む「デモ」を行っています。
下のシーンは、よくあるドラッグストアのレジで、被害者役の女性(中央)がカードを使い、暗証番号を入力して支払いを済ませているところ。
犯罪者役のRober氏は、少し離れた場所でレジの順番を待っています。
支払を済ませた女性が立ち去ったあとのシーン。
Rober氏はiPhoneを片手に音楽を聴きながら自分の会計を済ませます。
一見すると何も怪しい様子はありませんが、この時点で既に、先ほどの女性の暗証番号を入手することに成功しています。
では、一体どうやって番号を盗むことができたのでしょうか。
もちろん種明かしもしてくれています。
iPhoneのケースのように見えたのは、実は「FLIR ONE」というiPhoneに取り付けることができる小型・薄型のサーモグラフィ。
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日本では未発売ですが、アメリカ・カナダのApple Storeで今月から販売が開始されています。
このアタッチメントをiPhoneに装着すると、赤外線を感知して温度の分布を映像としてみることができます。
例えば、手で触った直後の壁を撮影すると、
このように、温められた部分が明るく表示されます。
この現象を利用すると、次のようなことも可能になります。
少し前まで誰かが座っていたソファーを撮影すると、
体温によってソファーが温められているので、座っていた場所が判るのです。
もちろん、時間の経過とともに周囲と同じ温度になって判別できなくなりますが、しばらくの間は識別が可能です。
話しを本題の暗証番号に戻して、下のようなカード読取機に「1・2・3・4・5」と入力、サーモグラフィ化したiPhoneで撮影してみます。
すると、押された5つのボタンが明るく表示されています。
注目したいのは、色の濃淡によって押された順番まで、だいたい想像できるということ。
過去にカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で行われた研究では、この手法による成功率は80%もあり、入力から30秒経過した場合でも50%の確率で成功したとのこと。
UCSDの実験では、US$18,000(約187万円)もする大型のサーモグラフィを用いたようですが、現在はiPhoneのケース程度にまで小型化、かつ価格もUS$350(約36,000円)と安価になっており、悪用しようとする人にとっては好都合。
この手法への対策として、動画では下のような対策が紹介されています。
暗証番号以外のボタンを指で触ることで、サーモグラフィによる判別を難しくするというもの。
Rober氏は当初、この手法の公開をためらったものの、その危険性および対策を共有することが防止に繋がると考えたとのこと。
日本でもこの種の犯罪が起きるようであれば、上記のような対策が必要となるかもしれません。
実際の動画はページのトップからどうぞ。