
iPad Proのチップ「Apple A9X」は、すべてTSMCが製造しているようです。
iPhone 6s・6s Plusのチップ「Apple A9」が、TSMCとSamsungの2社によって製造され、それぞれプロセスルールが異なるために、性能に違いがあることが話題になりました。
iPad Proには、「A9」と同じ世代の「A9X」が使われており、どちらが製造を担当しているか気になるところです。
「A9X」のメーカーについて、Wikipediaに「TSMC」との記述があるもののソースがないので、証拠となる情報を調べてみました。
チップの型番にヒント
iFixitによる分解レポートから、「A9X」には「APL1021」という型番が使われていることが判明しています。

そしてここ最近の「Apple Aシリーズ」の型番をまとめたのが下の表。
Samsung製のチップは末尾に「98」、TSMC製は数字の部分が「10」で始まる、という法則がみられます。
やはり、「Apple A9X」はTSMC製の可能性が高い、と考えられます。
Samsung | TSMC | |
---|---|---|
Apple A6 | APL0598 | |
Apple A6X | APL5598 | |
Apple A7 | APL0698, APL5698 | |
Apple A8 | APL1011 | |
Apple A8X | APL1012 | |
Apple A9 | APL0898 | APL1022 |
Apple A9X | APL1021(?) |
「A9X」はTSMCが単独で製造
iFixitの分解レポートは1台のハードウェアだけで、Samsung製のチップを搭載したものが流通している可能性を否定できません。
しかしながら、「A9」のメーカー判別法をいち早く紹介した開発者・ヒラクチャン氏(@hirakujira)のブログによると、iOS 9.1に含まれている記述から「A9X」は1社による製造であることが判るとのこと。
iPhone 6s/6s PlusのIPSWには、DeviceMapが2つ登録されていますが、

iPad ProのIPSWには1つしかエントリーがなく、よって「A9X」が1種類しかないことになります。

Samsungのプロセスは14nm FinFET、TSMCは16nm FinFETと、製造プロセスが異なるため、「A9」のようにマルチソーシングをする場合、別のプラットフォームが必要になります。
膨大な数量を確保する必要があるiPhoneと比べると、iPad Proの出荷数は少なく、手間のかかるマルチソーシングをするメリットもないため、理にかなっているといえます。
チップの型番、およびiOSに含まれているデータから、すべてのA9XはTSMCが製造(16nmプロセス)している、とみて間違いなさそうです。
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