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昨日(6月2日)にApple Store 銀座にて、『ユメみるiPhone』刊行記念トークセッションが開催されました。

iPhoneアプリ開発で有名な4名のクリエイターが、iPhoneでの開発の魅力や成功の秘訣などを、1時間以上に渡って語ってくれました。


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テーマ:「iPhoneデベロッパーが語る”iPhoneの未来”」

徳井直生 株式会社Qosmo代表取締役 『オトカメラ』『iMonalisa』
笹谷真也 株式会社BONNET代表取締役 『PocketGuitar』
岡村浩志 Delaware 『Re<ords』
深津貴之 『ToyCamera』『QuadCamera』
(紹介順:敬称略)

会場は約180人という収容人数を上回り、立ち見が多く出る盛況ぶりで、出演者の方の人気とiPhoneでの開発への関心の高さを改めて感じました。

ー 自己紹介とそれぞれのアプリのデモ

徳井 「Qosmoという、テクノロジーを使って新しいサービス・広告をつくる会社をしています。具体的には、iPhoneやAndroidなどの新しい携帯デバイスに注目して事業を展開していきたいと思っています。僕自身、元々は人工知能の研究をしていて、音楽やインスタレーション作品を作るようになり、今回の本のお話を頂きました。」

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笠谷 「最近iPhoneやAndroidのアプリを作る会社を始めました。もともと趣味でプログラムを書いていて、iPhone・iPod touchで触ったときに”スゴいな”と思って、『PocketGuitar』をつくりました。

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岡村 「Delawareというバンドで、インタラクションデザインやプログラムに絡むビジュアル表現をしています。以前は携帯電話つかって作品を展開していて、iPhoneではRecordsというアプリをつくりました。このアプリはレーベルのような感じで捕らえていて、毎月新しい作品を出しています。現在はDelawareの曲だけですが、レーベルとして他のアーティストの方にも参加してもらうことも考えています。」

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深津 「私は元々Flashのコンテンツを作る会社で、広告のキャンペーンサイトなどを手掛けていました。
iPhoneが出たときに面白いと感じたのと、大学で工業デザインを学んだこともあって、実験的な意味を込めてカメラ・アプリを作りました。」

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ー 最近の活動について

深津 「先日勤めていた会社を辞めてフリーランスになったので、集中していろいろ作ったりしています。」

岡村 「映像の仕事が多く、この近く(銀座)では、シャネルのビルのパサードとかをつくりました。カタールのデザインカンファレンスでスピーチをしたり、iPhone関連では『Re<ords』を毎月出しているのと、新しい機能の追加をしています。」

笠谷 「僕も最近独立したので前の会社の話になるのですが、『Spilt Milk』というアプリを出しました。イギリスのFightstarというバンドから、新しいアルバムを出すのでアプリを作って欲しいとい話が来て作りました。『PocketGuitar』は最近バージョンアップしていませんが、そろそろOS 3.0が出そうなのでアップデートを考えています。」

徳井 「深津さんと笠谷さんは最近独立されたそうですが、ぶっちゃけAppStoreは市場としてどうなのでしょうか?」

深津 「iPhoneのアプリが売れたから会社を辞めたのではなくて、去年の9月の段階で半年後に辞めるとの意思を会社に伝えていました。iPhoneのアプリを出したのはその後です。生活の足しなって助かっていますが、これで長期的に食べていこうとは考えていません。」

笠谷 「『PocketGuitar』がヒットしてしまって、いろんなサイトにいくら儲かったとか書かれていたりするのですが、深津さんのおっしゃるように、これで長期的に食べていくのは難しいと感じています。AppStoreの売切りのビジネスモデルでは、リリース後にだんだん落ちいていきます。今後アプリ内課金や無料アプリの広告モデルなどが伸びてくれば、企業として安定した収益をあげることも可能だと思います。」

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徳井 「狙ってヒットを飛ばすのは難しいですよね」

笠谷 「現在数万本あると言われているアプリのなかで、例えばUSのTop100に入ってやっと個人で食べていけるかどうかというレベル。よいアプリでも埋もれてしまうので、ヒットを出すのは簡単ではありません。」

徳井 「AppStoreにどんな仕組みがあったらいいと思いますか?」

深津 「今のAppStoreは玉石混合で、雨後の筍のように新作が出ているので、よいアプリ・便利なアプリを見つけにくいと思います。アプリを紹介するブログも新しいものを追うのに精一杯で、定番のアプリ、本当に役立つアプリを見つけることができる仕組みが必要だと感じています。」

岡村 「音楽とか映画とかもそうですが、メディアがちゃんとないと文化や市場が成立しないし残っていかないと思っています。映画の評論のように、アプリの中身について語ったり、ある角度から紹介するメディアがあれば定着していくのではないでしょうか。」

ー ヒットを飛ばす秘訣・アイデアの源

徳井 「アプリをヒットさせる秘訣・アイデアの源は?」

笠谷 「コンピューターで音を出すのが好きだったので、iPhoneのマルチタッチと組み合わせて作ったのがギターでした。なんでヒットしたのか分からないのですが、USのランキングなどみていると、他人に見せたくなるアプリが売れていると思います。他にもギターのアプリはありますが、ある程度訓練しないと弾けないところが楽器的でよかったのかもしれません。」

徳井 「『PocketGuitar』は訓練しないと弾けない、というのもありますよね。」

岡村 「Delawareは色々なメディアで作品を発表しているのですが、自分たちで権利をすべてコントロールしてみたいと思っていました。AppStoreの仕組みを使えば、自分が開発者でもありレーベルでもあるので面白いと思いました。レコードの形にしたのは、自分が好きだったというのもありますが、加速度センサーを使ってくるっと回すとB面になったりとかが面白くて。」

深津 「大学で工業デザインを学んだのですが、仕事ではFlashをやってきたので、大学で学んだことを実践投入してみようと思ったのが始まりでしした。最初に既存の競合アプリを分析・マッピングして、穴の空いている部分を見つけて誰とも被らないアプリを出そうという感じで、他のアプリに無かったような楽しさを提案したいと思っていました。iPhoneのプロジェクトは3,40個あるのですが、他と被ってしまうものはボツにしています。」

岡村 「コンセプトを明確にすることが凄く大事。見た目だけではなく、もっと広い意味でのデザインのような。」

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深津 「単純に性能を競って”あっちが5つエフェクト搭載しているからウチは7つ”、みたいなことをしても売上げを2分するだけで双方にとってよくないですね。」

徳井 「岡村さんは以前、”何をするかではなく、何をしないかを最初に意識する”とおっしゃってましたが。」

岡村 「『Re<ords』でも、やろうと思えばピッチコントローラーやミキサー機能を付けたり、レコードを2つ並べたりとか、いくらでも思いつくのですが、アームがあって盤面が回っているという、必要なところだけを残しています。」

笠谷 「『PocketGuitar』は設定を増やしすぎたところを少し後悔しています。」

徳井 「iPhoneに衝撃を受けた部分は何かありますか?」

笠谷 「ボタンが一つしかないのがいいなぁと思っていて、カメラでもレコードでも、触り方でいろんなものになるのがいいですね。」

岡村 「アップルはiPhoneで未来のユーザーインターフェイスの実験をしようとしているのかもしれませんね。いろんな人が色々な使い方を実験することで、一番良い物が残っていくみたいな。」

ー アンドロイドについて

徳井 「さきほど楽屋でアンドロイド見せてもらいましたが」

笠谷 「(Android Dev Phone 1を取り出し)ボタンがあると、色々機能をつけたくなるんですよね。」

徳井 「僕も両方使っているのですが、iPhoneの方がいいけど、マーケット的にはアンドロイドの方が大きいかなと。」

深津 「アンドロイドは個人でやるのは辛いかとおもっています。オープンでいいのですが、端末の種類が多くなった場合に検証とかサポートが大変かもしれません。企業でやるにはいいですけど。」

岡村 「Javaが出来るので携帯電話の延長と感じて、いまのところ静観しているというか。あまりワクワクした感じがないのは、MacとWindowsの違いと同じような。」

笠谷 「たしかに、気持ちよさ、の違うかなと。例えばスクロールでもiPhoneでは最後に跳ね返ってたりしていて気持ちいいですね。アンドロイドにはそれがありません。あと、JavaのVM上では重い処理に時間がかかってしまうようです。2.0で良くなっていくようですが。」

ー これから始める方へのエール

笠谷 「iPhoneは色々なセンサーがー詰まっていて、今までにないUIなんかを考えてみると楽しいと思います。」

岡村 「今まで生きてた中で経験したことや感覚・感触を再現してみると新しいものが生まれると思います。いまのところ技術者寄りですが、いろんな人が参加してくれると嬉しいです。」

深津 「ひとりで使うアプリよりは、ひとに一緒に使ったり、会話が生まれるようなアプリを作ったら面白いかと思います。」

ユメみるiPhone―クリエイターのためのiPhone SDKプログラミング
徳井 直生
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